
D氏職人さん、大変です! 私の革靴が濡れて、デコボコした水膨れみたいなクレーターが出てきてしまいました!
職人Dさん、ひとまず落ち着いてください。雨の日に履いてしまったのですね。
D氏天気予報では雨が降らないはずだったので、安心していたのですが、突然の通り雨で革靴が濡れてしまいました。でも、そのままにはしておけないと思って、そのとき持っていたアルコールティッシュで拭いたんです……。
職人アルコールで拭いてしまったんですね。緊急を要するので、革靴のデコボコしている箇所を優先的に直していきましょう。
D氏どうずればいいんですか?
職人ご自宅にキッチンペーパー、もしくはティッシュペーパーはありますか? それと、洗面器に少量の水を張ってください。
D氏ティッシュペーパーと洗面器を用意しました!
職人それではまず、ティッシュペーパーに水を含ませてください。それを軽く絞っていただいて、革靴のデコボコした箇所に湿布を貼るように置いてください。
D氏ちょっと待ってください。水で濡れた革靴の上に濡らしたティッシュペーパーを載せるなんて、逆効果じゃないですか?
職人大丈夫です。私を信じてください。水で発生した症状は、水で解決することができます。現状は革の表面だけに水が浮いているだけで、実は見た目ほど革の内部には水分が含まれていないんです。デコボコした箇所を紙やすりなどで削るのは、絶対にNGなのでやめてくださいね。
D氏分かりました。職人さんを信じます。

職人貼り終わったら、それを3〜5時間ほど放置してください。
D氏そんなにですか? カビが生えてきたりしませんか?
職人問題ありません。ご心配であれば、1〜2時間おきに様子を見てください。デコボコがなくなってきたら、ティッシュペーパーを取って乾いたタオルで軽く押すように拭いてください。
D氏革の表面がだいぶ落ち着いてきたので、ティッシュペーパーを外して拭きますね。
職人ここからが重要です。そのまま自然乾燥させると、シミができてしまう場合もあるので、なるべく短時間で乾かします。ドライヤーを用意していただいて、革靴から約30cm離れた位置で温風と冷風を交互に当ててください。大体5分程度繰り返していただければ、後は自然乾燥で大丈夫です。

D氏温風と冷風を交互に当てるのがポイントなんですね。はい、乾きました。
職人乾いたら、今日はそのままシューキーパーを入れて、玄関などの日陰に置いてください。明日、革靴が完全に乾いていたら、以前私が教えた靴磨きのケアを行ってください。
Dさんの革靴は、タンニンなめしというなめし方で作られていますが、高価な靴ほど雨などの外部からの要因に弱い傾向があります。それは、動物の皮膚を加工するとき、革の風合いを出すために強い成分を使いたくないからです。ただ、その分、靴を保護する力が弱くなります。今回は緊急ケアでなんとかなりましたが、もし靴の状態が改善されないようでしたら、遠慮なく店舗にお持ちください。私たち職人が、責任を持って修理いたします。
D氏お陰様で、すっかり元の状態に戻りました! 今回も色々と教えていただき、ありがとうございます!
